「固定電話=机に縛られる」は、もう古い?
近年、オフィスの働き方は大きく変化しています。
- フリーアドレスの導入
- ハイブリッドワークの普及
- 倉庫・工場のデジタル化
- 店舗やショールームの業務効率化
- 医療・介護現場での情報連携
こうした変化により、従来のような「決められた席でしか使えない電話」ではなく、レイアウト変更や働き方の変化に柔軟に対応できる電話環境が求められるようになりました。
そこで注目されているのが、Wi-Fiを利用してネットワークに接続するWi-Fi対応IP電話機です。
本記事では、YealinkのIP電話機とHPE Aruba Networkingの無線LAN環境を組み合わせて、オフィスの固定電話を柔軟に運用する方法を解説します。
Wi-Fi対応IP電話機とは?
Wi-Fi対応IP電話機とは、無線LANを利用してネットワークに接続し、IPネットワーク経由で通話する電話機です。
従来の有線LAN接続型IP電話機では、電話機を設置する場所までLANケーブルを配線する必要があります。一方、Wi-Fi対応モデルであれば、無線LANの電波が届く場所でネットワークに接続できます。
これにより、次のようなメリットが期待できます。
- 電話機の設置場所を変更しやすい
- フリーアドレス化に対応しやすい
- レイアウト変更時の配線作業を減らせる
- LAN配線が難しい場所にも設置しやすい
- クラウドPBXやSIP環境と組み合わせられる
ただし、デスクフォンをWi-Fi接続する場合でも、電話機を動かすための電源は必要です。
また、Wi-Fiに接続できることと、端末を持ってフロア内を歩きながら通話できることは同じではありません。導入目的に応じて、デスクフォン型とハンドセット型を選び分ける必要があります。
YealinkのWi-Fi対応IP電話機
Yealinkは、音声コミュニケーションやビデオ会議などの製品を展開するグローバルブランドです。
同社のIP電話機には、SIPベースの電話環境やクラウドPBXなどで利用できる製品があり、Wi-FiやBluetoothを内蔵したモデルも用意されています。
ただし、利用できる電話サービスやクラウドPBXは、端末だけで決まるものではありません。導入前には、利用予定のサービスやPBXが対象機種に対応しているか確認する必要があります。
デスクフォンとして使いやすいYealink T7シリーズ
YealinkのT7シリーズには、Wi-Fiを内蔵したモデルがあります。
例えば、SIP-T73WはデュアルバンドWi-Fi 6とBluetooth 5.0を内蔵しており、無線LANへの接続やBluetoothヘッドセットとの連携に対応しています。
Wi-Fi対応デスクフォンの主なメリット
- デスクまでのLAN配線を減らせる
- 電話機の設置場所を変更しやすい
- Bluetoothヘッドセットと組み合わせられる
- フリーアドレスやレイアウト変更に対応しやすい
- SIP対応の電話システムやクラウドPBXで利用できる
デスクフォン型は、受付や執務席、管理者席など、基本的には決まった場所で利用しながら、LANケーブルへの依存を減らしたい場合に適しています。
なお、T7シリーズはモデルによってWi-FiやBluetoothの対応状況が異なります。USBアダプターが必要なモデルもあるため、製品名だけで判断せず、個別の仕様を確認することが重要です。
移動しながら使うならWi-Fiハンドセット
倉庫や工場、医療・介護施設、店舗などでは、電話機を机に置いて使うのではなく、スタッフが端末を携帯しながら通話したいケースがあります。
そのような環境では、デスクフォン型ではなく、Yealink AX83HやAX86RなどのWi-Fiハンドセットが選択肢になります。
AX83HはデュアルバンドWi-Fi 6に対応し、アクセスポイント間の高速ローミングを想定したビジネス向けWi-Fiハンドセットです。AX86Rは、業務現場での利用を想定した堅牢型モデルです。
Wi-Fiハンドセットが向いている環境
- 倉庫や物流センター
- 工場や製造現場
- 医療・介護施設
- 店舗やショールーム
- 広いオフィス
- スタッフが頻繁に移動する施設
端末を携帯して、フロア内を移動しながら内線や外線に対応できるため、スタッフ同士の連携や問い合わせ対応を効率化できます。
Arubaアクセスポイントとの組み合わせが重要な理由
Wi-Fi電話を安定して利用するうえで重要なのは、電話機の性能だけではありません。
土台となる無線LAN環境の品質が、通話の聞き取りやすさや接続の安定性に大きく関係します。
音声通話はリアルタイム通信であるため、次のような問題の影響を受けやすいという特徴があります。
- 通信の遅延
- パケットロス
- 電波干渉
- 通信帯域の混雑
- アクセスポイント切り替え時の遅延
- 電波が届きにくい場所の存在
そこで選択肢となるのが、企業向けの無線LAN環境を構築できるHPE Aruba Networkingです。
Arubaが音声ネットワークに適している理由
1.重要な通信を優先するQoS
QoS(Quality of Service)とは、ネットワーク上を流れる通信を分類し、重要な通信を優先的に処理するための仕組みです。
適切に設計することで、データ通信が混雑している状況でも、音声通信に必要な帯域や優先度を確保しやすくなります。Arubaのネットワーク製品には、通信の分類や優先制御を設定するための機能が用意されています。
ただし、アクセスポイントだけに設定すれば完了するものではありません。
安定した音声環境を構築するには、アクセスポイント、スイッチ、ルーター、UTMなどを含め、ネットワーク全体で優先制御を設計することが大切です。
2.アクセスポイント間のローミング
Wi-Fiハンドセットを持って移動すると、端末は接続先のアクセスポイントを切り替えます。
この切り替えを一般にローミングと呼びます。
ローミングが適切に機能しない場合、移動中に音声が途切れたり、通話品質が低下したりすることがあります。
Arubaでは、多数のモバイル端末や音声端末が移動する環境を想定し、無線設計やローミングを最適化するための機能や設計指針が提供されています。
ただし、実際の切り替え動作はアクセスポイントだけで決まるものではありません。電話機側の仕様、電波強度、チャンネル設計、認証方式、設置環境なども関係します。
3.混雑しやすい環境への対応
オフィスや店舗、学校、倉庫など、多数の機器がWi-Fiへ接続する環境では、通信の混雑や電波干渉が起こりやすくなります。
Arubaの一部環境では、音声や映像などのアプリケーション通信を識別・優先する機能も利用できます。ただし、利用できる機能は製品、構成、ライセンスによって異なります。
Yealink × Arubaで期待できること
YealinkのWi-Fi対応IP電話機とArubaの無線LAN環境を適切に組み合わせることで、次のような電話環境を目指せます。
- 電話機のLAN配線を減らす
- オフィスレイアウトを変更しやすくする
- フリーアドレス環境で電話を利用する
- Wi-Fiハンドセットを持って移動しながら通話する
- 音声通信を考慮した無線LANを構築する
- クラウドPBXやSIP環境を活用する
- 電話と無線LANの管理を見直す
ただし、単にYealink端末とArubaアクセスポイントを設置するだけで、安定した通話環境が完成するわけではありません。
導入時には、電話機、PBX、無線LAN、ネットワーク、認証方式を含めた全体設計が必要です。
利用シーン別の導入イメージ
フリーアドレスオフィス
Wi-Fi対応デスクフォンを活用することで、LAN配線に左右されにくい座席運用を実現できます。
ただし、社員が日ごとに異なる席を利用する場合は、電話番号や内線アカウントをどのように割り当てるかについても検討が必要です。
倉庫・物流センター
Wi-Fiハンドセットをスタッフが携帯することで、商品の確認や出荷対応を行いながら、内線や外線へ対応できます。
広い倉庫では、棚や荷物による電波遮蔽も考慮したアクセスポイント設計が重要です。
工場・製造現場
作業エリアを移動する担当者との連絡手段として活用できます。
工場では、金属設備や機械による電波反射、ノイズ、端末の耐久性なども確認する必要があります。
医療・介護施設
スタッフが端末を携帯することで、ナースステーションや事務所へ戻らずに連絡を受けられる環境を構築できます。
ただし、既存のナースコールや院内システムとの連携については、個別の確認が必要です。
店舗・ショールーム
売り場やバックヤードを移動するスタッフ間の連絡や、外部からの問い合わせ対応に活用できます。
Wi-Fi電話の導入前に確認したいポイント
対応する電話サービス
利用予定のクラウドPBX、SIPサーバー、通信サービスが、対象のYealink製品に対応しているか確認します。
電波状況とアクセスポイント配置
通話を行う場所すべてで、必要な電波強度と通信品質を確保できるか調査します。
特に、倉庫や工場、複数階の施設では、実際の利用環境で電波調査を行うことが重要です。
同時接続台数
パソコン、スマートフォン、タブレット、IoT機器などを含め、1台のアクセスポイントへ何台の端末が接続するかを確認します。
ローミング設計
移動しながら通話する場合は、アクセスポイントの配置だけでなく、出力、チャンネル、SSID、認証方式などを含めて設計します。
QoSとネットワーク構成
音声通信を適切に識別・優先できるよう、アクセスポイントだけでなく、スイッチやルーター、UTMを含めた設定を確認します。
電源の確保
Wi-Fi対応デスクフォンも電源が必要です。ACアダプターの利用可否やコンセントの位置を確認しましょう。
「電話線をなくす」だけが目的ではない
Wi-Fi電話のメリットは、単にケーブルを減らすことだけではありません。
重要なのは、働き方や利用場所に合わせて電話環境を柔軟に設計できることです。
- デスクフォンを置く場所を変えたい
- スタッフが移動しながら電話に出たい
- フリーアドレスへ移行したい
- 倉庫や工場の連絡手段を見直したい
- クラウドPBXへ移行したい
こうした課題に対して、Wi-Fi対応IP電話機は有力な選択肢になります。
一方で、環境によっては有線LANやDECT方式の方が適している場合もあります。Wi-Fi化そのものを目的にするのではなく、利用方法に合った通信方式を選ぶことが大切です。
まとめ
オフィスの働き方が変化する中、固定された席や配線に依存しない電話環境への関心が高まっています。
Yealinkには、設置場所の自由度を高めやすいWi-Fi対応デスクフォンに加え、移動しながら利用できるWi-Fiハンドセットも用意されています。
これらをHPE Aruba Networkingの企業向け無線LAN環境と組み合わせ、適切に設計することで、
- 電話機周辺のLAN配線削減
- フリーアドレスへの対応
- 移動中の通話
- 音声通信を考慮した無線LAN運用
- クラウドPBXを活用した柔軟な電話環境
を目指せます。
ただし、通話品質は電話機だけで決まるものではありません。
アクセスポイントの配置、電波状況、ローミング、QoS、PBXとの互換性などを含め、システム全体を設計することが重要です。
固定電話のワイヤレス化をご検討中の方へ
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このようなお悩みはありませんか。
当社では、利用場所や通話方法、フロア構成、既存のPBX・ネットワーク環境を確認したうえで、Yealink製品とAruba製品を組み合わせた導入構成をご提案しています。
端末の選定だけでなく、アクセスポイントの配置やネットワーク構成を含めて検討することが、安定したWi-Fi電話環境を構築するための第一歩です。



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